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Vol.17  扁桃周囲炎と扁桃周囲膿瘍 

 ぐんと寒さが増し、冬が近づいてきましたね。季節の変化についていけずに、或いはストレスから風邪をこじらせてしまう方が多いようです。かくいう私も子供の運動会から風邪をひき、治りかけに出歩き過ぎて咳が長引き、胃腸にも来て3週間近く苦しんでしまいました。医者の不養生、情けないですね。

 風邪のこじらせ方にも色々ありますが、最近「扁桃周囲膿瘍」の人が立て続けに来院しました。風邪をこじらせて急性扁桃炎(いわゆる「へんとうせんが腫れた」状態)になる人はよくいるのですが、更に悪化して扁桃周囲膿瘍にまでなってしまう人は普段あまり診ないものです。

 扁桃周囲炎とは、細菌が口蓋扁桃(いわゆる「へんとうせん」)の周りにある膜を破ってのどの奥深くに侵入し炎症を起こした状態で、そこに膿が溜まって膿瘍となった状態が扁桃周囲膿瘍です。首は頭と胴体をつなぐ大きな血管や神経が通る通路としての役割があり、一旦のどの奥深くに溜まった膿はこの通路を通って下方に、つまり胸部にひろがることがあり、とても危険なのです。胸部膿瘍になり死亡した例も報告されています。

 扁桃周囲炎・扁桃周囲膿瘍になると、高熱になり、左右どちらかののどが激しい痛みに襲われます。腫れが強くなるにつれ、口は開かなくなり、声はこもって発音もはっきりせず、ひどいと水や唾さえ飲み込めません。のどの中の腫れが下方に広がると、気道が狭くなって呼吸が苦しくなり危険です。しかし体の反応が鈍く、あまり発熱もなく痛みも軽い人もいるようです。

 扁桃周囲炎・扁桃周囲膿瘍になったら、抗生剤の投与が必要です。もし膿瘍ができてしまったら排膿が必要です。いくら抗生剤を投与しても膿瘍の中心にはなかなか届かず治らないのです。扁桃周囲膿瘍の場合、口の中から膿の溜まっていそうなところめがけて針を刺して排膿します。腫れていても見ただけでは、膿が溜まっているかどうかは分らないため、穿刺しても膿が引けないこともあります。とても痛い処置ですが、もし膿が溜まっていると大変なので仕方ありません。扁桃周囲膿瘍は全例入院しての治療を原則とする施設もありますが、可能な限り通院での治療をとのコンセプトのもと、当院ではご本人に特に入院希望がなければ外来で連日の処置と抗生剤の点滴を行っています。切開することもありますが、穿刺と切開で治療効果に差がないとされていますので、当院ではなるべく外来管理の安全な穿刺を必要なら反復して行うようにしています。

 一度扁桃周囲へ炎症が及ぶと、扁桃周囲膿瘍を反復しやすくなります。そうなると、口蓋扁桃を手術で摘出しなくてはならず、手術のためには1週間程度の入院が必要です。

 まずはならないようにすることが肝心です。たかが風邪とあなどらず、治ったと思ってももう1日はおとなしくしていた方が良でしょう。元々「へんとうせん」の弱い方は風邪をひかなくても扁桃炎になりますので、普段から気をつけなければなりません。もし扁桃炎になって、更に上記のような症状が出たら、忙しくても時間を作って急いで耳鼻科を受診してください。

まとめ

・     風邪から扁桃炎、更に扁桃周囲膿瘍になることもあります。

・     扁桃周囲膿瘍はそのままにすると死に至ることもある重病です。しっかりと治療を受けましょう。

・     扁桃周囲膿瘍は反復しやすく、口蓋扁桃摘出術が必要です。
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