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Vol.18 扁桃炎 

 前回扁桃周囲炎・扁桃周囲膿瘍について触れましたが、まだ普通の扁桃炎についてお話していませんでしたね。そもそも「へんとうせん」とは何でしょう?専門的には口蓋扁桃といって、のどちんこの両脇にある組織です。のどには他にもアデノイド等の扁桃組織があり、鼻や口から入ってくるウィルスや細菌などの敵に対する防御の砦となっています。子供の頃には免疫システムが未熟で、口蓋扁桃やアデノイドが大きくなって防御と免疫システムの成熟に大きな役割を果たします。(2008.4.アデノイド増殖症 参照)

 免疫システムが成熟してくると扁桃組織は縮小し、感染を起こした時だけ腫れるようになります。「へんとうせん」と呼ばれる口蓋扁桃は表面から深い穴(陰窩)が沢山開いていて、穴の中に外敵を取り込みやっつけやすい構造になっています。味方が優勢の時はそれが効率良いのですが、一旦敵が優勢になってしまうとその構造があだになって内部深くに入り込んだ敵が暴れて強い炎症の急性扁桃炎になります。

急性扁桃炎は、誰でも風邪などから続発してなりやすい病気です。風邪でのどが痛いときには、一度ご自分でのどを見てみましょう。うまく見えないこともありますが、のどちんこの左右にある口蓋扁桃が赤く腫れて、時に白い膿がついて見えたら急性扁桃炎かもしれません。高熱が長く続くこともあり、強い咽頭痛で物を飲み込むこともできず入院が必要な場合さえあるのです。なかにはウィルス感染によるものもありますが、一般的には細菌感染によるもので、抗生剤の投与が必要なことが多く、とにかくしっかりと治すことが肝心です。中途半端だと、陰窩に菌が残って扁桃の強い炎症を繰り返す習慣性扁桃炎や、ずっと炎症が持続する慢性扁桃炎になる可能性があるからです。特にA群β溶血性連鎖球菌(溶連菌)の感染の場合、扁桃だけでなく様々な全身疾患などを引き起こすことがありますので、抗生剤の投与が必要です。一旦急性扁桃炎になったら1ヶ月くらいは寝不足やのどの酷使を避け、乾燥・冷えに注意し、人ごみに出るときはマスクやうがいなどして用心したいものです。

 習慣性扁桃炎は、陰窩が拡大して急性扁桃炎を反復する状態です。風邪をひいてもいないのに、疲れがたまったり空気の悪いところにいただけで、扁桃炎になります。風邪をひくといつものどにくると思っている人の中には、実はこの習慣性扁桃炎の場合があります。慢性扁桃炎は程度により、痛みのある場合も違和感程度のこともあり、白いカス(膿栓)が陰窩にたまり口臭の原因にもなります。一旦広がった陰窩は元に戻りにくく、定期的に陰窩洗浄などの処置をしたり、のどの炎症を抑える内服薬や外用薬で治療しますが、効果が上がらず、手術で口蓋扁桃そのものを摘出する場合もあります。

 口蓋扁桃摘出術はたとえうまくいっても痛みが強く、また一定の頻度で術後出血することがあるため、大抵は全身麻酔下で手術の上、約1週間の入院を要します。年に3回以上高熱を伴うような強い炎症を反復する習慣性扁桃炎や、痛みや発熱の持続するような慢性扁桃炎、重症型の扁桃周囲膿瘍を繰り返した場合などが適応になります。

まとめ

・     急性扁桃炎は重症化することもあります。

・     のどの弱い人は、慢性扁桃炎の可能性があります。

・     急性扁桃炎後や慢性扁桃炎の人は「へんとうせん」が弱って
いて腫れやすいので予防に努めましょう。

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