鼻中隔矯正術
鼻中隔彎曲症の人は、鼻の中の左右を分ける壁(鼻中隔)が曲がっているために鼻の中が狭くなり、鼻がつまります。曲がりを治すためには手術しかありません。
鼻中隔矯正術では、鼻の孔の中より鼻中隔の曲がった軟骨や骨を切除し、表面を覆っている粘膜は残します。鼻中隔彎曲症の人は、鼻の中の粘膜のひだ(下鼻甲介)が張り出していることが多いので、その場合は下鼻甲介の処理も必要となります。
手術により症状の軽減は期待できますが、軟骨を取りすぎると鼻が低くなる(鞍鼻)ことがあるため、場合によっては曲がりを完全に取り除くことができないこともあります。また、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などがあるとそのために鼻づまりが生じる場合もあり、そちらの治療も必要となります。
ガーゼに麻酔薬をしみこませたものを鼻の中に入れて表面麻酔をした後、鼻中隔粘膜に麻酔薬を注射します。更に手術直前より、点滴で痛み止めの投与を開始します。
手術の操作も全て鼻の孔から行います。必要により顕微鏡や内視鏡で確認しながら行います。一方の鼻中隔粘膜を切開し、そこから特殊な器械を使って、軟骨や骨から粘膜を剥離します。剥離後、曲がった軟骨は切り取り、骨は削ります。
その後に必要な場合、下鼻甲介の処理(下甲介粘膜焼灼術など)を行います。
最後に戻した両側の鼻中隔粘膜を圧着させるため、両鼻にシリコン板とガーゼをつめます。
終了すれば、問題になるような出血がないか等確認し、感染対策の抗生剤点滴をします。
術前処置開始から術後処置終了まで、大体2時間半かかります。
出血
鼻粘膜は血管が豊富なので、思わぬ出血をすることがあります。血がサラサラになる薬を内服している方は、術前に内服中止をする場合がありますのでお知らせください。
薬アレルギー
麻酔薬や抗生剤に対するアレルギー反応で、ショックに陥ることがあります。以前に薬を使って気分が悪くなったことがあるような方は、お知らせください。
脳貧血
極度の緊張や、痛みを我慢し過ぎると、自律神経が刺激されて、気分が悪くなったり、血圧が下がって意識がなくなったりすることがあります。少しでもおかしい気がしたら、手術中でもすぐにお知らせください。
感染
種々の処置にもかかわらず鼻中隔粘膜の間に血が溜まり細菌感染を起こすと、頭蓋内感染を起こしやすいので、高熱が出てひどい頭痛がしたらすぐに対処が必要です。
鼻中隔穿孔
鼻中隔の曲がりが強かったり、外傷性などで癒着している場合、両側の粘膜が切れて孔があいてしますことがあります。外見上には影響なく通常は自覚症状もありませんが、稀に穿孔部に痂皮(カス)が付くことがあります。
術後2,3日で、ガーゼとシリコン板を抜去します。それまでは鼻は完全につまって頭や鼻の鈍痛と、血混じりの鼻水が沢山出ます。重労働や集中力を要する仕事は難しい状態です。
1~2週間は少量の出血があります。
切開部を縫合した場合、約1週間後に抜糸します。通常術後1ヶ月程度は週1回の通院が必要です。
術前検査:診察料の他に¥5000程度(アレルギー検査もすると更に¥7000程度)
手術当日:¥28000程度 (自費材料を使用すると更に+¥2000~4000程度)
※内視鏡下下鼻甲介手術(両側)もすると更に+¥39800程度