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2021.09.30

Bスポット(EAT・上咽頭擦過療法)について

やっと緊急事他宣言も明けて、感染者数も落ち着きつつありますが、現在多くのコロナ後遺症に悩まされている患者様がご来院されております。
軽症の方でも後遺症に悩んでおられますので、世代問わず、地域を問わず、今後も全員で感染防止対策は徹底していきたいですね。
当院では、Bスポット療法(他にもEATや上咽頭擦過療法と呼ばれております。)を提唱した東京医科歯科大学故堀内教授の直弟子であった渡邊医師のもと開院以来からBスポット療法を実施して参りました。
現在大変なご好評と多数のお問い合わせや実際のご来院があったことから、当院の渡邊健介医師がBスポットについての記事を作成いたしました。
全ての症状に絶対に効く!!というような魔法のような治療法ではないのですが、後遺症治療に一定の効果を示しておりますので、下記をご覧頂きご来院のご参考として頂ければと思います。
以下、渡邊医師によるBスポット療法についてです。(医師のプロフィールはHP医師紹介欄をご覧ください)

Bスポット治療
 代々木の森耳鼻咽喉科 渡辺建介(獨協医科大学名誉教授)
Bスポット治療は今から約60年前(1960年-1972年)に東京医科歯科大学の堀口申作教授によって提唱された治療法です。私は1971年に卒業して堀口教室に入局しました。私は堀口先生の最後の2年間直々にBスポット治療について教えを受けました。当時教室を上げてBスポットの臨床及び基礎研究のまとめに大忙しでした。
Bスポットというのは鼻咽腔という鼻の突き当りの部位のことです。正式には鼻咽腔治療と言っていました。ところが教授が定年退官した後一般大衆向けにカッパブックスから鼻咽腔治療の本を出すことになりました。この時編集者から「鼻咽腔治療では一般受けしないのでBスポット治療としませんか?」と提案されてBスポットという名前ができました。
この部位に綿棒で1%塩化亜鉛を塗布するというシンプルな治療法です。塩化亜鉛というのは扁桃炎などの時、粘膜を引き締めるため軽く焼灼するときに用いる薬です。硝酸銀でも硫酸亜鉛でも粘膜を引き締める収斂作用のあるものであれば効果は同じと言われています。このシンプルな治療が現代医学でうまく治療できなかった様々な疾患に著効を示したのです。どうしてBスポットにこれ等の収斂剤を塗布するだけでいろいろの疾患がよくなるかということが問題になりました。堀口先生はBスポットの慢性炎症が種々の疾患を引き起こすに違いない。従ってBスポットの慢性炎症を塩化亜鉛の塗布によって治療しようと考えたのです。

Bスポット治療で症状改善を示す疾患
頭痛、咳(喘息)、後鼻漏、滲出性中耳炎、不明熱、IgA腎症、倦怠感,めまい、自律神経失調症、リウマチ、登校拒否、高血圧、糖尿病、膠原病などほとんどの疾患に効果があるというデータを示し学会で発表しました。堀口先生はもう夢中でした。内科、精神科、眼科でてこずっている疾患に対し片端からBスポット治療をしたのです。効果が認められたものもあったのですが無効のものもありました。現代の医学というのは疾患が治るメカニズムガ分からなければ治療として認められません。そこで教室を上げてなぜBスポットに塩化亜鉛を塗布するといろいろの病気が治るかということに取り掛かったのです。その結果「Bスポットには自律神経がネットを作っていて、そこに慢性炎症が発症すると自律神経に変調をきたし色々の症状が出てくる。」と結論付けました。自律神経は血管の開閉をコントロールしているので血流障害によって引き起こされる症状が改善するということは理にかなった説明だと思います。前に挙げた疾患はほとんどが血流障害に関係した疾患だからです。しかしこの説明だけではBスポット治療で著効を示す時とほとんど無効の場合のバラツキがでる理由を説明できません。私が90%以上に著効を示すと確信しているお勧めは頭痛と咳です。喘息で発作を起こしているときにBスポット治療をするとたちどころに発作が収まります。慢性炎症治療して自律神経を正常にするというのなら何回か治療をして良くなるならともかく1回の治療で著効を示すということの説明がつきません。
Bスポット治療の欠点は、すごく痛いということです。しかし痛みの刺激で気管支の交感神経を刺激して気管が拡張するというのなら説明がつきます。どうやらBスポット治療は鼻咽腔の炎症を治して症状をよくする場合と鼻咽腔を擦過する強烈な刺激により自律神経を刺激する場合の二通りの理由で様々な疾患が良くなるのではないかと私は思っています。
頭痛 Bスポットの炎症部位により頭痛の部位が変化する。「頭痛は鼻咽腔からの放散痛である。」と堀口先生は説明しています。頭痛の原因は多様です。Bスポットを刺激することによる自律神経を介しての血流改善も頭痛改善の機序かもしれません。いずれにしてもBスポット治療で実によく治ります。頭痛に悩んでいる人には特にお勧めです。 
咳  著効が期待できます。気道は鼻から気管支まで一続きの粘膜です。風邪の初期に鼻水が出て苦しんでいた人は、鼻症状がよくなってくるに従って徐々に炎症は下気道(気管支)に移り、咳と痰に悩まされます。すなわち下気道が刺激状態になっているのです。上気道(鼻)と下気道(気管支)の炎症はシーソーの関係です。鼻が刺激状態の時は咳が治まり、下気道が刺激状態の時は鼻症状が消えます。一続きの気道の一か所が刺激状態になると気道の他の部位は症状が取れるのです。Bスポットは鼻と気管の中間点にあります。従ってBスポットを擦過して刺激状態にすると鼻も気管支も症状が取れるのだと思います。
後鼻漏 粘っこい鼻汁がのどに降りてくる症状です。蓄膿症でもこの症状を訴えますが大部分はBスポットの炎症が原因です。従ってBスポット治療はよく効きます。Bスポットに開口している耳管の粘膜が炎症で腫れたり後鼻漏のもとになる粘っこい鼻汁が耳管を塞いだりすると滲出性中耳炎になります。従って滲出性中耳炎にも著効ですが、子供は痛みを嫌がって治療させてくれないことが悩みです。
不明熱 37度―37.5度の微熱が続く時はBスポットから扁桃にかけての炎症が原因していることが多いです。隔日で5―6回治療をすることで解熱することが多いです。
IgA腎症 扁桃に溶連菌が慢性的に感染してひき起こされると考えられています。扁桃腺摘出をするのがベストですがその前にBスポット治療を試みるのもいいと思います。Bスポットは細菌の温床部位です。Bスポットから持続的に扁桃に細菌を供給していることが考えられます。
倦怠感 何となく元気が出ない。新コロナウイルス感染者の後遺症として一番問題になっている症状です。発症機序が特定できないので困った症状です。自律神経の失調によって引き起こされている可能性が高いです。だとすればBスポット治療が効くはずです。実際かなりの確率で治療により症状が改善してきます。
めまい めまいの原因は色々ありますが、最終的には内耳の血流が改善することがめまいの治療につながります。Bスポット治療で自律神経が正常に働くようになれば内耳血流も改善して症状が取れてきます。Bスポット治療を試みる価値は十分にあります。
膠原病、リュウマチ Bスポットを刺激すると血中に副腎からステロイドが放出されることを堀口先生は確認しています。治療でステロイド薬を使わなくても症状が改善してくると堀口先生は説明しています。しかしまだその機序については不明点が多いです。
糖尿病、高血圧 糖尿病は結果的に血管壁の障害により血流が悪くなり色々の臓器がダメージを受けます。高血圧も動脈硬化により血流障害が生じます。Bスポット治療により自律神経を正常化することで血流改善が期待できるので症状改善が期待できます。

余りに広範囲の疾患に効果があったので堀口先生はすっかり有頂天になり「不妊症もBスポット治療で治る!」と言い出し学会ですっかり相手にされなくなってしまいました。確かに自律神経が不調で生理が不順になった時はBスポット治療が効くこともあるでしょう。しかしそれを言わずに全ての不妊は鼻咽腔の炎症であるとしたのは失敗でした。
堀口先生の弟子でいまだに臨床に携わっているのはもう私を含めて2,3人くらいです。この素晴らしい治療法を廃れさせてしまうのはいかにも残念でした。ところが最近10年くらいBスポット治療が見直され、学会では1セッションもうけられるほどになりました。なぜBスポット治療が効くのかという原点を極めなければまた忘れ去られてしまうのではないかと危惧しています。もう余命少なくなってきました、全力でBスポット治療の解明に尽くしたいと思っています。

治療の手順
(初診時)
堀口先生は治療の目的はBスポットの慢性炎症を治すことだと言い続けました。従って治療の最初にBスポットに炎症があるかチェックします。鼻咽腔ファイバースコープで容易にBスポットを観察できます。さらに全身的に異常があるか血液検査でチェックしておく必要があります。異常値があれば定期的にフォローして改善の有無を確認しなければなりません。
Bスポット治療はとても痛いです。初回は少し手心を加えてBスポットの入口くらいに塩化亜鉛を塗布します。出血しやすい時は塩化亜鉛に0.05%のボスミンを加えて塗布します。   (治療頻度)
当時は1週間毎日Bスポット治療をしました。治療効果は10回で大体わかります。
しかし今は毎日の治療に協力してくれる患者は稀です。できたら2-3回/週が理想です。でもこれでも通いきれる人は限られます。せめて1回/週の治療をお勧めします。まず10回は頑張って治療を継続してもらいます。反応の良い人は1回塗布しただけで改善を自覚します。10回の治療後、Bスポットをファイバーで観察します。血液に異常値のあった人は血液検査も行い治療効果を確認します。
全く症状の改善を見ない場合は10回を目途にBスポット治療は残念ですが中止します。ほとんどの患者は効果に差はありますが症状の改善を実感します。改善の度合いに応じて以後の治療の間隔を延ばしながら治療を続行します。しかし1回/月は年余にわたって治療を続けなければならないことが多いです。

以上Bスポット治療の概略を述べました。
広範囲の疾患に効果があるのでぜひ試してみてください。しかし先にも述べましたように現代医療においてはただ効くというだけでは治療法は広まりません。何とかもう少し具体的に効果発現の機序が解明されなければなりません。解明されれば末永く世界中に広まる治療法として歴史に刻まれると思います。